岩手県 大槌町

岩手県大槌町

岩手県上閉伊郡に所在し、海の近くなので漁業が盛んな町。
大槌町の赤浜地区にある蓬莱島は人業劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとなった島としても有名。

東日本大震災により大きな被害を受けた大槌町ですが、一番の被害は津波によるものでした。津波が引いた後も、流されたガスタンクが次々と爆発し大きな火事になり、被害が拡大。建物はほとんど残らず、瓦礫でどこが道路だったのかも家だったのかも分からない状態でした。

大槌町でお話を聞いた中で挙げられた課題や不安は、東北の中でも福島を始めとする他の地域と異なる部分もあります。勿論、同じ津波被害を受けた他の町との違いもそれぞれあります。大槌町では今後の課題として、海岸沿いに建つ事が決まった巨大防潮堤の建設、住民の高台移転計画、漁業を中心とした産業の再生・復興などが挙げられます

大槌でお話を聞いた中で出てきたトピックをいくつか紹介します。

TOPICS

漁業再生

津波により壊滅的な被害を受けた大槌町の漁業産業。漁業関係の方々にお話を聞いた中で浮かび上がってきたのは、漁業共同組合の破綻、新しい漁協の設立など、その後もいくつものハードルを乗り越えながら今日に至っているということでした。これからも漁港のかさ上げや、市場や作業場の建設など、まだまだ完全復旧には長い道のりが待っているようですが、漁師のみなさんは今出来る事を最大限に努力し、前向きに進んでいました。

海から町を元気にしよう。

そんなことを想って毎日一生懸命働いているというお話も聞く事が出来ました。
将来の事を考えると、漁業人口の減少、後継者の不足、経済面、設備・器具の不足などの問題があげられるようです。

人口減少・少子化

大槌町の様々な職業の方とお話する中で、人口減少、特に若い世代の少なさが街全体の悩みの種になっているという印象を受けました。
少子化問題は震災がすべての原因という訳ではなく、実は以前からも懸念されていたそうです。しかし震災をきっかけに町から出て、内陸の大きな町や関東に引っ越した人も多く、問題が深刻化してしまいました。

この件に関しては、

仕方がない ・ なんとかしないと

と、様々な意見がありました。しかしこのまま若い人が減少し続ければと、これからの町の将来を考えて不安に思う方も少なくありませんでした。

支援の形:心のケア

私達がグループとして大槌町に初めて行ったのは震災から1年半経ってからでした。そこから1年間定期的にお話を聞きに行かせて頂いた中で感じたのは、物資を提供するケアから心のケアへのシフトでした。物資のサポートもまだ場所によっては続いていますが、時間が経つにつれ、私たちも「心のケア」という言葉が耳に入る事が多くなりました。

東北の外に住んでいる私たちにとっても、このシフトは復興を考えてサポートする上でとても大事です。物資を送り続けてることだけが支援の形ではないということ。現地の方々のニーズや、その時々の状況を考えた上での支援をすることが大事だという事を学びました。

3.11における宗教の役割

大槌町のお寺の住職さんにお話を伺う機会が何回かありました。たくさんの死と直面しなければいけなかった震災・震災後における宗教の役割はとても大きいものです。津波で流されずにすんだお寺のいくつかは震災直後に避難所としても機能したようです。

大槌町のそれぞれのコミュ二ティーの中にしっかりとお寺が存在し、地域の方々をしっかりサポートしているような、そんな地域とお寺の関係が浮かび上がってきました。