長沼翔さん

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閑上育ちの長沼翔さん。震災当時の状況や、閑上への思いをお話ししてくださいました。


震災当日の記憶

Q:九死に一生ですね。
ほんとだよね。で俺膝ぐらいまで浸かってさ、焦ったよね。怖いよ追われる恐怖。親父はさ、屋根の上にいたって話じゃん。あれはでもさ、流されてどうしようって恐怖じゃん。こっちは追われる恐怖じゃん、また違うんだよね。まじで青くなるよほんとに。俺まじで死ぬと思ったもんね。弟に生き延びたらラッキーだからねって言って。とりあえず逃げるべって言って逃げて、生き延びた。死んでらんないと思ってさ、じいちゃんばあちゃんはいいから逃げろって。まさかね、一緒にいるのにさ、見捨てられないよね。
Q:そういうことって今でも思い出したりするんですか?
結構ね、鮮明に覚えてる、記憶はね。でも不思議なことにさ、匂いとか、音って分からないんだよね。
Q:映像だけ、、
そう。映像だけワーッと残ってて、その音とか、匂いとか、景色とかは覚えてるんだけどね、そういうなんていうんだろう視覚的なものは覚えてるんだけど、他は覚えてないの全然。研ぎ澄まされてるのかな、、ワッ!って。集中してるからは分からないけど。
Q:それは弟さんとかはそういうの、、
弟はどうなんだろうそいういう話あんましたことないけど。でも弟もそうだろうって、多分必死なんだろうね。で、こう安全な場所を探してるから、目は効くんだけど、他はもうどうでもよくなってるんだと思うんだよね。そういえば車とか爆発してたりとかさ、してんのに音分からないんだよ全然。
Q:結構きっと大きな音ですよね。
うん。だろうね。家とかも壊れてるんだから、音はしてるんだと思うんだけど、全然分からない。一切記憶にないの音が。怖かったのはね、側溝ってあるじゃん?そこの蓋がさ、浮くんだよボコボコボコボコって。走ってると。あれがねえ、すごく怖かった。異常に。全部がだよ、全部がこう道路の脇にあるのが全部ボコボコって浮いてきてるんだよ。ボンボン!って浮くの。
Q:走ってる途中に?
そう、それがね超怖かったんだよね。


閑上の復興

Q:あとそのやっぱ復興案というのも、今ちょっとあると思うんですけども、長沼さんは将来どちらにできたら住まわれたいと思ってますか?
どこに?閖上には戻りたくない。正直、うん。戻りたくないね。
Q:それはやっぱり、津波の影響とか、
うん、もあるしね、やっぱもうさ、遅すぎるよね復興が。気持ち的にさ、やっぱ冷めるよね、そうなると、遅すぎて。


閑上に対する思い

Q:そのなんか昔は閖上に住まわれてたと思うんですけど、あのー、なんか閖上に対してちょっと住みたくないと思ってるけど、なんかちょっと寂しいみたいのはありますか?
それはあるよ。やっぱねえ、地元だからね。地元がないんだからね、やっぱ寂しいよね。10年ぐらいしか住んでないにしてもさ、小、中って、ずーっと暮らしていたわけだからね。やっぱ小、中って一番遊ぶ時期じゃん?その時は遊んでたからね、やっぱ今行くと悲しいよね。なんにもないんだもん。あれはね、複雑な気持ちだけどね。
Q:同級生の方もやはり、閖上に住まわれてた方とかも、他の場所に、
俺の同級生は殆どね、こっちいないから。仕事で県外とか、にいる方が多いからね。やっぱりね、話聞くと誰も戻るっていう人はいないかな。


今後の希望

Q:やはりその羅夢ちゃんとかも、これから小学生になったりとか、やっぱり将来があるわけなんですけども、なんか今後の一番の希望というかそういうのは今思いつくものとしてはありますか?
あっ羅夢に対してとか?
Q:とか、はい、そういうのも、、
Kとりあえずね、家だよね。まあ仮設の居心地が悪いとかそういうのでもないけど、やっぱ羅夢も流石に大きくなると狭いからね、もう少し大きいところに住めればいいかなと思うけどね。やっぱりね、ここに建ててもらえればいいんだけどね。やっぱそこだよね、まずは。ここを出て行きたいとかそういう訳じゃないけどさ、すぐここを出ていきたいとかじゃないけど、ちょっと狭くは感じてはきてるかな。
Qまずは家というか、、住む場所、、
そうだね。あととにかく進めてもらいたい。まあ俺もね、すぐに家を建てるのは無理だから、まずは復興住宅に入ることが前提だからさ。だから早く進めてもらいたいとは思うけどね。


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