鈴木さんは3児の母であり、旦那様は消防士として働いていらっしゃいます。現在、仮設住宅で生活している鈴木さんは、家をなくした人と家が残った人への思いを語ってくれました。「被災した人たちばっかりが大変なんじゃない、助かった人も反面大変だと思います。」始めは家が残った人たちが羨ましいという思いの変化を教えてくれました。
なんていうかな。同じ被災でも、仮設の方の人と、あと借り上げ住宅の人とか、あともうひとつはお家は助かっているんだけど、その人達も結局は被災とおんなじなんですよね。あの時はもう、家の、高見団地って言うんですけど、あそこは孤立してしまって。その中の何人かで動いて、食べる物や、それこそ色んな水とか交通の便とかその小さな箇所で動いたから。なんていうんだろう。被災した人ばっかりが大変なんじゃないいんですよね。助かった人も反面、大変だったと思いますよ。
結局被災、被災をした人達には、周りから大変ですね、っていろんな支援も来ますけど。ありがたいんですけど、助かってる人達も困ってんだけど自分のお家は助かったから、こう素直に助けてくださいっていうか、私達も困っていますって素直に言えないとこもあると思います。
だから、助かったから助かんないから最初の問題ではないかな、気持ち的に。
あたしは最初、ああ家も、家が助かった人達はいいなと思ったんです。自分の寝たいところにね、広い気持ちよく、お風呂にも入れて脚ものばせて良いなと思ったんだけど。段々にこうやって話をしたりしてると、ああ私たちがこうやって思う。確かに被災して苦しんだけど、その他の人達、助かった人達も反面大変なんだっていうのは分かりました。自分たちだけが大変なんだ、大変だって言ってられないと思った。
最初、からかな。不満。どうして仮設と借り上げ住宅と違うんですかって、同じ被災なのにっていうのはありました。そういうのはずっと前に言った事があるかな。いろんな支援の事でもあったから。どう違うんですかね、って、不満はありましたね。今ようやっと。ここ一年経ってからかな、被災してる人達もいるんだって、仮設にばっかりじゃなくて他のお家ね、借りて住んだりしてる人もいるし。そういう人達にもこう支援が行くようになりましたね。
やっぱり、ストレスですけね、子供なりに。最初はまあ家族といればいいっていう気持ちだったんだと思うんだけど、学校に行って今度は、自分の家はあるけどあっちの家は、友達の家はなくなったとか、親が亡くなったとか色んなのがかみ合いがあって。子供ながらにもストレスが溜まってましたね。聞いてると。
あと高校生のいるお友達の方は学校に行っていいのかなっていう悩み、悩んでる。お家もなくなって学校に行っていいですか、とかって言われたの、とかって。
ただどっちにしても逃げるが勝ちです。今回の経験で一番。どんなダイヤの指輪も何もそんなのも、いいです。本当に逃げるのが勝ち。そして、悪いけどやっぱり個人だと思います。自分だと思います。自己責任で行動しなきゃ。あと、もし子供が生まれたら、私は自分の子供にこういう津波とか何かあったら、自分がいる場所から高い所に行きなさいって教えてたんです。家に帰ってこなくていいから、もうすぐ高い所に。あとは、変な話、トイレが一番丈夫だから、もうトイレに入ってたら出なくていいよって。おさまってから出て来なさいっていう事を教えてました。
結局、兄弟達もいるし。変な話、生活基盤がありますよね。昔から守っているお墓とか、そういうのもろもろありますよね。そういうのを考えれば置いて逃げる、なんか出ていくのが、逃げてくような気分になっちゃって。
最初は怖いと思ったんですけど、海が。でも海育ちなもんで、自分が。そばにはいってませんよ、海は。でも、ちょっと用事あって内陸の方にいくとなんか違うんですよね。あっちから帰ってくるときに、潮の、海の匂いがしてその時に安心っていう気持ちになるから、それはやっぱり生まれから、小っちゃい時からのあれなんだと思うから、ここから離れたいと思わないです。