20130706 草野城太郎 3

お客様との関係っていうのが震災以前よりも強くなったという風に。

そうですね。まあ、一人一人のお客さんの顔っていうのはなかなか見える機会がないですけれども。うちみたいに、特に、こういうものを市場に出荷して、スーパーに並べちゃうと、誰かが買ってきてくれるのが、スーパーでこう、じーっとしてなきゃわからないですけれども、でも、震災後、まあ、電話掛かってきたりして、「やっとならんだね」と。スーパーに。そういう声なんかも、友達から聞いたりしてますし。あと、このねぎが、たまに、あの、市場の転送っていう作業で、東京のほうに行ったりしてるんですけど、そうすると、僕の弟が東京に住んでて、「あ、ねぎ並んでたよ」と。うちの。「並んでた。買ったわ。」なんていうから、「ありがとう」って。まあ、「やっと並んだね」とか、そういう話聞けるとうれしいですよね。

イベントなどに参加した東京の人など、そうですね。東京で、いわきの野菜を買ってくれた方たちから何か反応があったりしましたか?

そうですね。震災後、ちょっと、やっぱり、値段が安かったり、出荷できなかったりしたものを、もうちょっと、まあ、トマトやってる僕の友達が、応援しますよってことで、あの、ネットで、あの、販売してみませんかっていう誘いがあって、まあ、それで、あの、どのくらいかな。数量にすると、1箱3キロなんですけど、まあ、200ケースくらい、その、ネットでの注文があって、それをだいたい、日本全国に応募したところ、200ケースくらい注文来て、中には芸能人の人も居たんですよ。「いわきの野菜かいますよ」なんてことで、その人らからは、まあ、僕らも1箱ずつ手紙書いて、そしたら美味しかったよなんて。ただ、3キロなんでなかなか使いきれない量なんで、「ちょっと量が大変でした」なんて笑い話もありますけど、いろんな応援してもらった人からも、あの、諦めてやめちゃった人もいるんですけれども、辞めなくて良かったね、と。今続けてて良かったなと思いますね。

 やっぱり、そういうお客様からの直接のフィードバックというか、お声をいただけるっていうのは、ひとつの大きな励みになりますよね

そうですね。あの、直売所みたいに、まあ、自分で物を持っていって、お客さんに買ってもらえるようなところだと、けっこうやり取りがあると思うんですけど、僕らみたいに市場に出荷してるっていう場合だと、なかなかそういう話が聞けないんでけど、ここ2年くらいは、そういう機会があって、いろんな話が聞けるようになったっていうは正直な話で。あとは、そうですね。まあ、業務用に使うのが一番多いんですよね。お好み焼き屋さんとか、ラーメン屋さんとかでけっこう使ってもらってるので。それまで、あの、どこどこの店舗で使ってもらってますよ、っていう話もあまり聞かなかったんですけど、「うちで使ってますよ」、なんて話も聞きつけたりして、僕らも食べに行ったりして、そこから、ちょっと交流もできたりして。普段はもう、すべて、袋詰め、箱詰めにして出荷しちゃうんですけれども、直接うちに買いに来てくれるようにもなりましたし、まあ、少しずつ、あの、消費者が身近になったっていうか、あの、震災のおかげっていっちゃうと、ちょっと自信にあれなんですけど、まあ、うん。いいことだったな、っては思いますね。

 変化があった部分においては、良かった。

まあ、そうですね。あれがなければ、普段どおり今でもやってたんでしょうけども、あれがあったから、僕ら生産者の取り組みもみんな一丸となってできるようになったし、そうじゃなかったら、まあ、あそこで何々つくってる誰々さん、とか、それで終わってたのが、まあ、会って話したり、今度ああしようよ、こうしようよ、って言う話もできるようになったりして、震災のおかげなんですかね。それがなきゃ、本当にこうはならなかったですし。あまりいいものではないですけど、でも、結果としては、今、まあ、やりがいのある仕事だな、と思ってます。